歯みがきの効果
歯みがきをするのはどうしてでしょうか?
もちろん、歯みがきをすることでお口に残っている汚れ(歯垢・プラーク)が取れて、虫歯や歯周病の予防ができます。しかし歯みがきの効果はそれだけではありません。近年、「歯みがきをすることが全身の健康に影響する」と言われているのです。つまり、お口の環境が、心疾患、糖尿病、動脈硬化など全身の病気の発生に関わっているというのです。その中でも糖尿病と歯周病の関係についてはたくさんの報告があり、様々な国と地域で「歯みがきの回数と糖尿病の発生リスク」について検討されてきました。
その中から信用性の高い20の論文を選び、1日の歯みがき回数と糖尿病の発生リスクを統計的に分析した報告があります(*)。その結果、
・1日の歯みがき回数が1回以下の人は、1日に複数回歯みがきをする人に比べて糖尿病のリスクが1.32倍になる
・1日の歯みがき回数を1回増やすごとに糖尿病のリスクは20%下がる
ということが明らかとなりました。また、この事実は国や地域によって大きな差はありませんでした。歯みがきは、手軽にできる糖尿病予防法なのです。
また、糖尿病の方でも、歯周病治療(機械を用いた歯石除去など)を行ってお口の環境を改善することで血糖値のコントロールができるという研究報告が数多くされています。
お口の中から健康習慣を始めましょう!
*参考文献:Fu W, Lv C, Zou L, et al. Meta-analysis on the association between the frequency of tooth brushing and diabetes mellitus risk. Diabetes Metab Res Rev. 2019;35:e3141